選定方法のこだわり

ピーター・ルーガーにおける牛肉選びのこだわりの歴史は、1950年まで遡ります。当時、ブルックリンで金属加工会社を営んでいたソル・フォーマンが、経営不振に陥ったピーター・ルーガーを買い取ります。彼が再建のために最初に取り組んだのは、牛肉選びでした。最高の牛肉なしには、最高のステーキは提供できないと考えたのです。

彼は、米国農務省(USDA)を引退した牛肉のプロを雇い、妻のマーシャに牛肉の選び方を教えさせます。その後、マーシャは彼と牛肉問屋を回って目利きのノウハウを習得し、ピーター・ルーガーにおける7つの選定基準を決めました。その基準は今でも引き継がれ、本店で仕入れるすべての牛肉は、4人のファミリーオーナーが選んでいます。

今回、東京店で仕入れる牛肉も、すべてブルックリンの本店で提供されている牛肉と同じ基準で選ばれています。ファミリーオーナーに認定された牛肉の目利き職人が、ピーター・ルーガーの選定基準を学び、それに基づいて選ばれた牛肉だけが日本に輸入されます。

熟成方法のこだわり

ピーター・ルーガーにおける牛肉のドライエイジ手法もマーシャによって考案され、 現在も秘伝の手法として引き継がれています。本店の地下にある熟成庫には鍵がかけられ、独自のドライエイジ手法の全体を知りうるのは、4人のファミリーオーナーと少数の調理スタッフのみです。

一般的に、ドライエイジ手法とは、温度、湿度、風を管理することで、牛肉本体の水分活性を促し、赤身肉のコアに向けてタンパク質とミネラルを凝縮させていきます。さらに、筋肉細胞に内在する酵素や特定の微生物によって生まれる酵素でタンパク質を分解し、旨味アミノ酸を劇的に増やし、柔らかでジューシーな肉質をつくります。

ピーター・ルーガーにおけるドライエイジ手法も基本的な考え方は同じですが、特別な管理手法と工夫によって、雑味を感じる不要な熟成臭を抑えることに成功しました。 この秘伝の手法によって、ドライエイジビーフ特有の旨味と柔らかさを安定的に実現しつつ、牛肉本来の香りも楽しめる、最高のステーキが生まれました。

提供方法のこだわり

ピーター・ルーガーにおけるステーキの提供方法は、長年の試行錯誤によって生み出されてきました。まずは、サーロインとフィレを同時に味わえるTボーン・ステーキというスタイル。今では、どのステーキハウスのメニューにも載っていますが、アメリカで最初に提供し、有名にしたのはピーター・ルーガーです。

次に、サーバーが300度に熱したお皿にのせてステーキを提供し、お皿の縁で肉をさらに温めます。こうすることで焼き加減をゲストの好みに調整できるだけでなく、ジューッという肉を温める音を聞くことで食欲がそそられます。最後にビタミンと呼ばれる肉汁をかけて、牛肉の旨味を最大限に引き出します。

そして最後のこだわりは、すべてのステーキを焼き上げてから1分以内にゲストに提供することです。本店もそうですが、東京店のような広い店でこれを実現するのは容易ではありません。3階建構造の中心となる2階部分にグリル台を設置し、そこから1階と3階に最短ルートで直結した階段を使って、サーバーたちがステーキを運びます。